薬剤師としてのキャリアを生かして東証一部上場企業への転職を検討しているのであれば、まずはどの業界への転職を目指すのかを決めることをおすすめします。東証一部企業で薬剤師のニーズのある業態としては、製薬会社、ドラッグストア、そして調剤薬局などがあります。
東証一部上場の製薬会社には、武田薬品工業や大塚ホールディングス、アステラス製薬、第一三共など、誰でも一度は耳にしたことのある大企業が並びます。これらの企業においては、処方箋をもとにした調剤業務ではなく、新薬の企画・開発を中心とした、より学術的要素の高い業務が求められます。基本的にはお客様の対応業務はありませんので、じっくり腰を据えてひとつのことに没頭することの得意な人に向いた職種と言えます。
続いて東証一部上場のドラッグストアには、マツモトキヨシやクリエイト、クスリのアオキ、サンドラッグなど、街中でよく目にするドラッグストアが含まれています。ドラッグストア店舗での勤務であれば、処方箋に従っての調剤業務をはじめ、お客様への既存の薬品の用法説明など薬剤師としての資格を生かしたものだけでなく、日用品や化粧品、食料品の棚卸や在庫確認、補充など、店舗運営業務も求められます。一方、本社勤務になる場合は、取り扱う薬品の選別や各店舗の運営管理など、管理職としての素養も必要とされます。
調剤薬局業界で東証一部上場企業を目指すのであれば、日本調剤や総合メディカル、アインファーマシーズなどが筆頭とされます。大手の調剤薬局ならではの特徴として、各薬局の組織が体系化されているため、昇給・昇級制度が整備されたところが比較的多くなっています。基本的には処方箋にもとづいた調剤業務がメインとなりますが、管理薬剤師などになると、スタッフの勤怠管理やお客様とのトラブルの解決など、より幅広い業務を担当するようになります。
このように、同じ東証一部上場企業と言っても、業態によって必要とされる薬剤師の素養やスキル、経験は異なります。もちろん給与体系や昇給システムもそれぞれ異なりますので、これらの企業への転職を考えている人は、まずどの業態に進みたいのかを決めること。そして、自分にとっての働きをどこに見出すのか、自問自答を行いながら、給与面や福利厚生システム、仕事場の雰囲気など、それぞれの項目についてきちんと確認しておくようにしましょう。インターネットの転職サイトでは、プロのコンサルタントからの具体的なアドバイスを受けることができますので、不安な人は利用するといいでしょう。