薬剤師の退職金はどの程度もらうことができるのか、これは就職・転職先選びをする上でも非常に重要なポイントとなります。とくに近年では治験業務や医療機器メーカーなど民間企業へ就職する薬剤師が増えている状況のため、退職金の重要性が高まっている状況なのです。
この薬剤師の退職金の問題に関してはそもそも貰えるのかどうかの問題もあります。職場、業種によっては退職金の制度そのものを設けていないところもありますし、支給の基準が異なる場合もあります。ただ、総合病院や大学病院、大企業など規模の大きな施設・企業であればあるほど退職金がもらえやすく、金額も多くなるのが一般的です。それだけに東証一部上場企業ともなるともっとも高い水準の退職金をもらえることになります。
ただし、この東証一部上場企業で働く薬剤師の退職金の相場を数字のデータで出すのは非常に困難です。基本的には退職金は勤続年数や退職時の月給を基準に算出される形をとっています。ですからその人がどれぐらい給料をもらっている状況でどれぐらい長く働いていたかによって状況が大きく異なってくるわけです。薬剤師の場合、人によって退職時の状況が大きく異なってくるので平均を出しづらいのです。
離職・転職率が高く、ひとつの会社で新卒から定年まで勤め上げるケースが少ないこと、また薬剤師が担当する職種が幅広く、それぞれ給料の水準が異なることなどが平均の相場を出しづらくしている大きな理由です。薬剤師が働く東証一部上場企業といえばその多くが製薬会社となると思いますが、新薬開発部門と薬剤の管理部門、さらにMRでは求められる平均収入も勤続年数も大きく異なってきます。MRのように成果主義を全面的に導入し、同じ職場でも収入に大きなバラつきが生じるといったケースも見られます。
こうした難しい状況を踏まえた上であえて大まかな平均を出すとすると勤続20年を越えれば確実に1000万円を越えることが予想され、定年まで勤め上げれば数千万円レベルにまで達するでしょう。このあたりは薬剤師の退職金相場というよりも東証一部上場企業全般の退職金相場の方が参考にしやすいかと思います。一方勤続年数が10年以内の短いケースでは数十万円程度。それでも調剤薬局やドラッグストアに比べれば格段に恵まれた環境といえます。
このように、東証一部上場企業で働く薬剤師の退職金相場をデータにするのは難しいのですが、かなり恵まれた環境であること、長く勤めれば勤めるほどますます恵まれる点は間違いなさそうです。